生物と成長促進剤

成長促進剤という言葉は、一般的には園芸用語として知られていますが、植物を育てたことがある方なら、一度はご自分が育てている花や野菜などに使ったことがあるかもしれません。



植物に対しては、実に多種多様な成長剤が売られており、成長促進剤以外にも成長調整剤など、植物の生育具合に合わせて使い分けられるようになっています。



このように、人間によって栽培されている植物に対しては、収穫時期を一定にするため、安定した収穫量を得るためなどの目的から、人間による管理がしやすいように、生育をコントロールできるような多くの成長剤が使われているのです。



そして、人工的に生産をコントロールするということでは、動物に成長促進剤が使われる場合もあります。



例を挙げると、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉産業においてです。



牛肉や豚肉、鶏肉などの成長を促して生産量を増加させ、また成長具合をコントロールすることができるので、いつでも安定的に食肉を市場に提供する、という目的において、成長促進剤が使われているのです。



現在、人間の身長を伸ばす目的のための薬剤の研究が進み、何らかの疾患によって身長が低い子供への治療法として、医療の現場では使用されているのです。



しかし、自分の子供の身長が他の子供よりも小さいと思った時に成長剤を使って身長を伸ばすなどという話を聞いたことはあるでしょうか?そんな話は聞いたことがありませんし、そもそも身長を薬剤を使って伸ばすとはどういうことなのか疑問に思う方がほとんどだと思います。



人間に対しての成長促進剤には、成長ホルモンと呼ばれるホルモンが使われています。



成長ホルモンとは、脳にある脳下垂体前葉のGH分泌細胞から分泌されるホルモンです。



成長ホルモンが注目されるようになったのは、1965年に初めてその抽出に成功したころで、その当時は、成長ホルモンは、死んだ人の脳から採っていました。



その存在が世間に広く知られるようになったのは1980年代ごろです。



では、次に成長ホルモンが人間の体内で実際にどのような働きをしているのかを見ていきましょう。



成長ホルモンには、代謝をコントロールする働きと成長に関する作用があります。




まず、成長ホルモンの代謝に関する作用を見ていきます。



代謝とは人体が生命維持やエネルギーを作るために行う化学反応のことで、代謝の働きが悪いと、生命活動がうまく行われなくなるので、とても重要な作用です。



特に代謝は皮膚や毛、汗などとの関係が一番大きく、代謝作用が鈍ってくると毛髪がパサついたり、汗をかかなくなって皮膚になんらかのトラブルが起こったりといった全身のさまざまな器官で不都合が生じてしまいます。



成長ホルモンは、炭水化物やたんぱく質、脂質などの栄養素の分解の促進したり、エネルギー不足に陥った時に体脂肪を使ってエネルギーを起こす、また、肝臓でのグリコーゲン分解を促進し血糖値が下がるのを防止する、カルシウム濃度などを一定に保つ、などといった代謝の働きを促進するので、成長ホルモンが分泌されることにより、我々人間が生きて行く上で欠かせない体内での作用を、スムーズに行えるようになるのです。



次に、成長に関する作用についてです。



筋肉を成長させたり骨を伸ばしたりする働きがある器官や細胞に成長ホルモンが働きかけることによって、細胞の増殖や成長を促進させる、という働きです。



特に成長期には、骨の末端にある骨端線の軟骨細胞に、成長ホルモンが直接働きかけることによって、軟骨細胞の増殖と成長を促し、骨を大きく伸ばして身長を高くするのです。



私達が、成長期に急激に身長が伸びるのは、このためなのです。



また、筋肉不可欠な物質なのです。